こんにちは。よろず相談行政書士の毛利です。
日頃のちょっとした悩みに行政書士がお答えする、教えてもーりーのコーナーです。
今回は板橋区高島平にお住いの郷田博道さん(仮名)からのご相談です。

Q.合同会社ってなんですか?株式会社とどう違うのでしょうか?

郷田さんはいままで個人事業主として事業を経営していましたが、取引先からの要請もあり、法人格の取得を検討しています。
法人格を取得すると、決算書類等、会計に関する部分がガラス張りになるので、取引相手に法人格を要望する企業が結構あります。
当事務所では、個人経営者が法人成りするなどの場合には、株式会社だけでなく合同会社も検討するよう、お勧めしています。

こんな会社も合同会社

最近は設立件数も伸びてきているようですが、まだまだ知らない人が多いようです。
結構身近にあるんですよ。
例えばこんな会社です。

合同会社とはどんな会社か?

合同会社を一言であらわすと、そうですねえ。

  • 設立費用が一番安い会社
  • 維持管理に一番費用のかからない会社
  • 意思決定が迅速にできる会社
  • 出資者が、出資金の多寡に関係なく、平等に意見をいえる会社
  • 会社内部の規定について、大幅な自治が認められている会社

っとまあ、こんな感じでしょうか。

株式会社とはどう違うのか?

株式会社との比較を表にするとこんな感じです。

株式会社 合同会社
 最低資本金  1円  1円
 定款の認証  必要  不要
 出資者の責任  有限責任  有限責任
 出資者の呼び方  株主  社員
 最低出資者数  1人  1人
 業務執行者(取締役等)の任期  原則2年
(株式譲渡制限会社は最長10年)
 無期限
 役員  1人以上  業務執行は社員がする
最高意思決定 株主総会 社員全員の一致
定款に関する費用 印紙代:4万円
認証手数料:5万円
印紙代:4万円
登録免許税 15万円〜 6万円〜

合同会社を詳しく解説

大体の概要はつかめましたか?
それでは、先ほど紹介したワンフレーズを解説していきます。

1.設立費用が一番安い会社?

定款認証が不要なため、公証人役場での認証手数料(5万円)が不要です。
さらに、電子定款で定款を作成すると印紙代(4万円)も不要となります。
登録免許税だけは避けられないので、最低6万円で設立できます。
これに対して、株式会社は電子定款を採用したとしても、少なくとも20万円かかります。

2.維持管理に一番費用がかからない会社?

合同会社は決算公告が不要なため、そのための費用がかかりません。
これに対して、株式会社は毎年の決算公告が義務付けられています。
例えば、公告方法を官報で公告することにしているのであれば、毎年6万円程度の費用がかかります。

3.意思決定が迅速にできる会社?

合同会社の出資者である社員は、原則として業務執行権限を有します。
業務の意思決定を会社の所有者である社員が迅速に行うことができます。

4.出資者が、出資金の多寡に関係なく、平等に意見をいえる会社?

出資の金額に関係なく、1人の出資者の同意権は、原則1個です。
有名なところでは、「桃浦かき生産者合同会社」の例が挙げられます。
同社は、東日本大震災後、「日本初の水産特区」となる石巻市桃浦に設立されました。
漁師15人が30万円ずつ出資した450万円と、民間企業である(株)仙台水産が出資した440万円の合計890万円を資本金としてしています。
この場合でも、仙台水産の同意権は1個です。
漁師ひとりひとりの意見を経営に反映できるよう、このような体制を選択したのです。

5.会社内部の規定について、大幅な自治が認められている会社?

合同会社の定款には、会社法の基本ルールと異なるルールを定めることができる事項が約30ほどあります。
例えばこんなのがあります。

  • 持分譲渡に関する規定
  • 社員の業務執行権に関する規定
  • 社員が死亡または合併による消滅した場合に関する規定
  • 利益配当、損益分配に関する規定

これらを利用すると、将来発生しうる可能性を踏まえ、あらゆる場合に対応できる柔軟な設計をすることができます。
また、定款の変更には社員全員の同意が必要であるため、最初の設計が大変重要です。
そのため、合同会社を設立する場合には、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

小さく始めて大きく育てる

合同会社と株式会社は設立後、相互に移行することが可能です。これを組織変更といいます。
設立費用や維持費用が安い合同会社で小さく始めて、事業が軌道に乗ったら、株式会社に組織変更することもできます。

最後に

いかがですか?
合同会社のこと、少しでもご理解いただけたのであれば、うれしいです。、

当事務所では電子定款にも対応しています。
合同会社に限らず、株式会社や一般社団法人などの設立についても、どうぞお気軽にご相談ください

最後までお付きあいいただき、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。

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