こんにちは。よろず相談行政書士の毛利です。
日頃のちょっとした悩みに行政書士がお答えする、教えてもーりーのコーナーです。
今回は板橋区小茂根にお住いの渡会立也さん(仮名)からのご相談です。
Q.会社の英文名をつける場合、会社を表す略称はどれを使えばいいですか?
会社の商号自体に英語を使うわけではなく、英語の別名をつける場合です。
商号の英文名を定めることは必須ではありません。
設立する会社が、国際的な活動場合、例えば、海外から商品を仕入れたり、海外への出店を視野に入れている場合などは、定めておくといいと思います。
定款で定めるか?定めないか?
それでは、どうやって定めたらいいのでしょうか?
一般的には、定款で商号と併記して定めます。
(商号)
第○条 当会社は,〇〇〇〇株式会社と称し、英文では、〇〇〇〇,〇〇と表示する。
この場合は、定めた英文名を名乗ることが義務付けられます。
変更するには、株主総会等での定款の変更決議が必要となります。
英文名は定款の記載事項ではありません。
そのため、定款で決めないで、自由に英文名をつけることができます。
いいか悪いかは別として、変更し放題です。
英文名を決めかねている場合は、あえて定款には記載しないという選択肢もあります。
会社を表す略称とは?
さて、ここからが本題です。
英文名にした場合、通常、末尾に会社を表す略称をつけます。
代表的なものを以下の表に挙げます。
略称 | 正式名称 | 邦訳 | 備考 |
---|---|---|---|
Co., Ltd | Company Limited | 有限責任の会社 | 日本の株式会社では多い。海外ではあまり見られない。 |
Ltd | Limited | 有限責任の会社 | イギリスではすべての企業がこの単語を入れないといけない。 |
Inc. | Incorporated | 登記済の会社法人 | アメリカでは最も多い。 |
Corp. | Corporation | 法人格を与えられた事業組織 | 合名会社、合資会社にも用いられる。 |
K.K. | Kabushiki Kaisha | 株式会社 | 日本語。NHKみたいなもん。 |
LLC | Limited Liability Company | 有限責任法人 | 合同会社は、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルに日本版LLCとして作られたので、一般に略称に用いられる。 |
G.K. | Godo Kaisha | 合同会社 | 日本語。NHKみたいなもん。 |
これって、どれをつけたらいいんだ?と悩む方も多いです。
結論からいうと、どれでもいいです。わかればいい。
とはいえ、独りよがりではいけません。
取引先やお客さんに、その略称が認知されているか?この観点が必要です。
業務の実態を考慮して選択を!
たとえば、主な取引先はどこの国の企業でしょうか?
もし、アメリカの企業であれば、アメリカの例に倣った「Inc.」や「Corp.」がいいのではないかと思います。
日本企業であることを前面に出したいのであれば「K.K」とか、そんな考え方もありますね。
まあ、その場合は名刺を渡すたびに、「K.K.」ってなんの事ですか?って聞かれて、説明することになるとは思いますが。
合同会社にご注意を!
特に合同会社では注意が必要です。
合同会社の英文名といえば「LLC」が有力です。
でも安易に「LLC」を採用するのは危険です。
日本の合同会社は、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルに、日本版LLCとして作られました。
っということは、LLCというのは、アメリカ文化圏の概念であって、イギリス英語の文化圏では知られていない可能性が高いです。
たとえば、旧宗主国がイギリスの国(インド、パキスタン、ニュージーランドなど)では、「LLC」では通じないかも知れません。
名刺を渡すたびに毎度毎度、アメリカのLLCの制度から説明すればいいのでしょうが、それも煩雑ですよね。
そういう会社であれば、「Ltd」を使えばいいと思います。
「,(カンマ)」は別にいらない
もうひとつ気になるのは、「Co., Ltd」の場合です。
この「,(カンマ)」何だよって話です。
通常、英文ではカンマは読みやすさのためにつけるもので、なくても構いません。
よって、「Co. Ltd」でも全く問題ないです。
同様に「〇〇〇〇, Co. Ltd」のカンマもいりません。
「〇〇〇〇 Co. Ltd」っとスペースが空いていれば充分です。
これはもう完全に好みの問題かなと思います。
「邪魔くさい」という理由で、つけない方もいますしね。
最後に
いかがでしたか?
自分でバシ!と決めてしまえばいいことですが、意外といろいろ考えないといけません。
みなさんの設立する会社にあった英文名を考えてみてくださいね。
ご不明な点は何なりとお問い合わせください。
最後までお付きあいいただき、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。