こんにちは。よろず相談行政書士の毛利です。
日頃のちょっとした悩みに行政書士がお答えする、教えてもーりーのコーナーです。
今回は番外編です。

会社設立業務に欠かすことのできない、法務省が提供している署名プラグイン「SignedPDF」
現行ではAdobe Acrobatの11.0とDCというバージョンのみに対応しています。
最新の2017や少し古いバージョンでは使えません。
インストールができない。
これを回避してしまおうという裏技です。

署名プラグインとは?

定款に電子署名をする場合、Adobe社のAcrobatとこのプラグインを使うこととなります。
なんといっても、無料ですのでお手軽です。
これ以外では、リーガル社の「電子認証キットPRO」という製品があります。
有料で、15,000円(税別)します。

バージョンチェックを回避する

SignedPDFがAcrobatのバージョンをチェックするプロセスは、実際にはバージョンを見ていないようです。
何を見ているかというと、既存フォルダの文字列です。
多分この2つ↓↓ならインストールを進める、それ以外なら「Acrobatをインストールしてくれ」っていうメッセージを出して終了というロジックなのでしょう。

  • C:\Program Files\Adobe\Acrobat 11.0
  • C:\Program Files\Adobe\Acrobat DC

もうおわかりですね。
インストールするフォルダ名をこのどちらかに変更すれば、これら以外のバージョンでも使えるようになるということです。
試用版ではインストールができることを確認しました。

インストール処理の中できちんとバージョン情報を確認していれば、こんなことにはなりません。
例えば、Adobe Acrobatのインストールプロセスでは、より新しいバージョンがすでにインストール済みなら、「もっと多機能なバージョンがインストール済みですよ」っというメッセージをだして、終了します。
古いバージョンが新しいバージョンのインストールフォルダなどを知っているはずはないので、バージョン情報を参照して判断しているのでしょう。
通常、バージョンは新しいほど大きい値になります。
おそらくバージョン情報はこんな感じです。

  • Acrobat 11.0 → 11
  • Acrobat DC →15
  • acrobat 2017 →17

SignedPDFも「11以上だったらインストールするよ」というロジックになっていれば、最新版の2017でも小細工なしに使えたのですが、残念です。

SignedPDFについて考える

法務省の提供するSignedPDFは、三菱電機インフォメーションシステムズ社電子署名検証ソフトウェア「MistyGuard<SignedPDF Verifier>」を署名機能のみに限定したものです。
実はこのソフト、2014年4月で開発が終わってます。
っということは、Acrobatの最新バージョンはサポートしないってことですよね。
動作確認できないもの。
もしかすると、開発終了が決まっているから、あえてインストールできるバージョンを絞っているのかもしれません。
開発元によれば、代替製品としてAdobe Readerを推奨しています。

一方で、法務省のHPには「PDFファイルに電子署名を付与する際の留意事項について」という情報が公開されています。
これによると、登記・供託オンライン申請システムが要求する形式および設定値を満たす電子署名付きPDFファイルを作成するには、次の4つの方法があるのだそうです。

  1. 登記・供託オンライン申請システムが提供するPDF署名プラグインソフト「PDF署名プラグイン(SignedPDF)」を使用して作成
  2. Adobe Acrobatの電子署名機能(「Adobeデフォルトセキュリティ方式」)を使用して作成
  3. Adobe Reader XI(11)及びAdobe Acrobat Reader DCの電子署名機能を使用して作成
  4. SkyPDFの電子署名機能を使用して作成

なんと!署名プラグインを使わなくてもいいといっています。
実際、行政書士仲間にも「署名プラグイン?なにそれ?」といっている人がいます。
その人はAdobe Acrobatの署名機能を利用して電子定款作成業務をしており、それで問題ないようです。
そういったことを考えると、近い将来、SignedPDFは廃止されるのだろうなっと思います。

最後に

わたしはもともとシステムエンジニアをやっていたこともあり、インストールの画面なんかを何度も見ていると、ソフトウェアの裏側の処理がパッと理解できることがあります。
今回も「これバージョン情報みてねーな。」ということに気づき、「じゃあどうやって判断しているの?」と考えて、試してみたら当たったって感じです。
法務省がAdobe ReaderやAdobe Acrobatの署名機能を使っても問題ないとしているとはいえ、やっぱり法務省自身が提供しているSignedPDFを利用できるというのは、心強いですよね。
この裏技で少しでも電子定款作成が身近になればいいなと思います。

毛利行政書士事務所では、会社設立業務のみならず電子定款作成業務だけでも承っております
登記手続きは提携している司法書士さんにお任せしますので、最後まで安心です。
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。

最後までお付きあいいただき、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。

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