こんにちは。よろず相談行政書士の毛利です。
日頃のちょっとした悩みに行政書士がお答えする、教えてもーりーのコーナーです。
今回は板橋区高島平にお住いの金原志保さん(仮名)からのご相談です。

Q.本当に資本金1円でも設立できるのでしょうか?実際どのくらいが適当なのですか?

この秋に株式会社を設立する予定の金原さんは、設立する会社の具体的な内容を検討しているところです。
資本金の額をどうするべきかで頭を悩ませていました。

1円でも設立可能だけど・・・

確かに、制度上は資本金の額は1円以上であれば会社設立は可能です。
しかし、実際に1円で設立する人は多くないのが現状です。
会社設立時の資本金・出資金の額は設立時の自己資本であり、対外的な信用を得るためには、ある程度大きいほうがいいからです。
会社を経営していくうえでは、金融機関から融資を受けなければならない場面などもあります。
そのため、資本金の額の決定は、当面の事業計画と照らしあわせて、十分に検討する必要があります。

設立登記費用 + 設立時費用 + 3カ月分の固定費

ずばり、これくらいを目安にすればいいと思います。
中小企業であれば、まあだいたい100万円〜300万円といったところでしょうか。
最初の売上が入金されるまでをしのぐこと、これを基準に考えます。
固定費の計算は、3カ月ではなくもっと短くなったり長くなったりすると思います。
ご自身のケースをよく検討してみてください。

設立時に必要となる経費の例

設立登記の費用は、株式会社であれば25万円くらいです。
会社設立後も、事業を開始するまでには様々な経費がかかります。
それらを勘案すると、だいたいこんな感じだと思います。

事務所設置費用 敷金・保証金、礼金、仲介手数料、保険料、事務所備品購入費
事務所固定費 家賃、管理費、光熱費、通信費
インターネット関連 ホームページ作成委託料、ドメイン取得費用、サーバ費用
営業に必要なツール 名刺作成、挨拶状作成、封筒作成、交通費

固定費はこの他にも、従業員を雇う場合であれば、その給料、各種保険料などが発生します。
繰り返しますが、事業を開始して最初の売上が入金されるまで、会社は無収入なので、その期間をしのげる金額を設定することが重要です。

税務上の取り扱い、1,000万円のカベとは?

資本金が多いほど、資金繰りも楽になり、取引先の印象もよくなります。
しかし、ただ多いだけでいいかというとそうでもありません。
資本金1,000万円にカベが有ります。
以下の2点を考慮して、起業の時点では、資本金を1,000万円未満にしておくことをおすすめします

1. 法人住民税の均等割

法人を設立すると、たとえ赤字であっても、毎年一定額の税金を納める必要があります。
これが「法人住民税の均等割」です。
地方自治体により異なることがありますが、東京23区の場合、資本金が1,000万円以下かつ従業員が50人以下の場合には、年間7万円になります。
これが最低金額です。
ちなみに、1,000万円超で1億円以下だと、同じ従業員数であっても年間18万円になってしまいます。
設立当初の会社にとって、これは大きいですよね。

2. 消費税の納税義務

資本金が1,000万円未満の法人は、最初の2期の消費税が免除されます。
ただし、1期目の半期の売上高または給与の支払額が1,000万円を超えると、2期目は課税業者になってしまいます。
それでも、1期目は確実に消費税は免税です。
これも、設立当初の会社にはありがたいですよね。

最後に

いかがですか?
会社設立時の参考になったでしょうか。

資本金の額については、やはり一概にはいうことができません。
ご自身のケースで、よく検討してみることが大切です。
迷ったときは、専門家にご相談ください。

当事務所では、会社設立に必要な定款作成だけでなく、事業計画書の作成等もサポートしております。
お気軽にご相談ください

最後までお付きあいいただき、ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。

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