【日本版DBS】何を教えるべき?こども性暴力防止法の従業員向け研修、周知資料の作り方!
こんにちは。行政書士・情報処理安全確保支援士の毛利です。
日頃のちょっとした悩みに行政書士がお答えする、教えてもーりーのコーナーです。
今回はこども性暴力防止法の従業員に対する研修に関するご相談です。
Q. 情報管理規程は作ったのですが、従業員にどのように説明すればいいかわかりません。研修や資料など、どうやって作ればいいでしょうか?
こども性暴力防止法への対応で、規程の作成と同じくらい重要でありながら、意外と後回しにされがちなのが「従業員への研修・周知」です。
どれだけ立派な規程を作っても、現場の従業員がその内容を理解し、正しく運用できなければ意味がありません。
実際に、情報漏えいの多くは「何が漏えいに該当するか分かっていない」ことが原因で発生しています。
この記事では、従業員研修で何を伝えるべきか、周知資料の作り方を、行政書士かつ情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の立場から解説します。
なぜ従業員研修が義務付けられているのか?
こども性暴力防止法では、犯罪事実確認記録等を取り扱う従事者に対して、秘密保持義務を周知することが求められています。
秘密保持義務に違反した場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という重い罰則が科される可能性があります。この罰則は、規程の存在を知らなかった従業員個人にも及ぶ可能性があるため、「知らなかった」では済まされません。
事業者としては、従業員が規程の内容を正しく理解し、日常業務の中で適切に運用できる状態を作ることが、法律上の責任として求められています。
研修で伝えるべき必須内容
1. なぜこの法律・規程が必要なのか?という背景
いきなりルールを羅列するのではなく、「こどもの安全を守るために、なぜこの取組が必要なのか」という背景を伝えることで、従業員の納得感と当事者意識を高めることができます。
2. 犯罪事実確認記録等とは何か
「犯罪事実確認書」「犯罪事実確認記録等」という言葉が具体的に何を指すのか、従業員が正しく理解できるように説明します。
3. 誰がアクセスできるのか(取扱者の範囲)
情報管理規程で定めた取扱者の範囲を、従業員全員に周知します。
「自分はアクセスできない立場である」ことを理解してもらうこともとても重要です。
4. 秘密保持義務の具体的な内容
「業務上知り得た情報を、正当な理由なく他人に漏らしてはならない」という抽象的な説明だけでなく、具体的にどのような行為が違反にあたるのかを、実例を交えて説明することが効果的です。
5. 何が「漏えい」に該当するのか?(具体例)
これが研修の中で最も重要なパートです。以下のような具体例を挙げて説明します。
- システム画面をスマートフォンで撮影し、個人のスマホに保存すること
- 権限のない同僚に、確認結果を口頭で伝えること
- 確認書を、施錠されていない場所に放置すること
- 確認書の内容をメールやチャットで転送すること
- 不要になった書類を、シュレッダーにかけずに廃棄すること
「これくらいなら大丈夫だろう」という従業員の思い込みを解消することが、研修の最大の目的です。
情報漏えいについて、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
6. 漏えいに気づいた場合の報告方法
万が一、漏えいの可能性に気づいた場合、誰に、どのような方法で報告すればよいかを明確に伝えます。
「報告したら怒られるかもしれない」という心理的なハードルを下げ、速やかな報告を促す姿勢を伝えることも重要です。
7. 記録の廃棄・保管ルール
保管場所、保管方法、廃棄のタイミングと方法について、日常業務の中で従業員が迷わないよう、具体的な手順を伝えます。
こども家庭庁の研修動画・教材の活用
こども家庭庁は、情報管理措置に関する研修動画・教材を公開しています。
この教材を活用することで、法律に準拠した内容を効率的に研修に取り入れることができます。
【こども性暴力防止法について(動画)】
ただし、公式教材は一般的な内容であるため、自施設特有の運用ルール(誰が取扱者か、保管場所はどこか等)については、別途、自施設向けの補足資料を用意する必要があるでしょう。
周知資料の作り方
研修を実施するだけでなく、後から従業員がいつでも確認できる「周知資料」を用意しておくことが重要です。
周知資料に盛り込むべき項目チェックリスト
- この法律・規程の目的
- 自施設における取扱者の一覧(役職・氏名)
- 犯罪事実確認記録等の定義
- 秘密保持義務の内容
- 「漏えいに該当する行為」の具体例(自施設の業務に即した内容)
- 漏えいに気づいた場合の報告先・報告方法
- 記録の保管場所・保管方法
- 記録の廃棄方法・タイミング
- 違反した場合の罰則
- 相談窓口の連絡先
資料の形式
- 全従業員に配布する「簡易版」(A4一枚程度、要点のみ)
- 取扱者向けの「詳細版」(規程の全文、具体的な手順を含む)
の2種類を用意すると、全従業員への周知と、実務を担う取扱者への詳細な説明を、それぞれ効果的に行うことができます。
研修のタイミング
新規採用時
採用時のオリエンテーションに組み込み、業務開始前に必ず研修を実施します。
定期研修
年に1回程度、全従業員を対象とした定期研修を実施し、内容の再確認を行います。
人の記憶は時間とともに薄れるため、一度の研修で終わらせず、定期的な実施が重要です。
規程改定時
規程の内容を見直した場合は、その都度、変更点を従業員に周知します。
配置転換時
情報を取り扱う立場に新たに就く従業員に対しては、その時点で個別の研修を実施します。
研修実施の記録を残す重要性
研修を実施した際は、以下の内容を記録として残しておくことが重要です。
- 実施日
- 参加者名簿
- 研修内容の概要
- 使用した資料
これらの記録は、万が一、情報漏えいが発生した際に「事業者として適切な周知・教育を行っていた」ことを示す重要な証拠になります。
研修を実施しただけで終わらせず、記録として残す習慣をつけてください。
情報処理安全確保支援士が研修設計をサポートできる理由
従業員研修の内容は、単に法律の条文を説明するだけでは効果が薄く、「現場で実際に起こりうる場面」を想定した、実践的な内容にすることが重要です。
情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティインシデントがどのような場面で発生しやすいかを熟知しています。
この知見を活かし、貴施設の業務フローに即した「起こりやすい漏えいパターン」を洗い出し、より実効性の高い研修内容・周知資料を設計することができます。
当事務所は行政書士に加え、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)を保有しており、法律に準拠した内容と、実務に即した具体的な研修内容の両方をご提供できることが強みです。
よくある質問
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研修は外部講師に依頼すべきですか?
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自施設の管理責任者が実施することも可能ですが、法律の正確な理解や、他施設の事例を踏まえた実践的な内容を取り入れたい場合は、外部の専門家に依頼することも選択肢の一つです。
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パート・アルバイトにも同じ研修が必要ですか?
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情報を取り扱う立場かどうかによって、研修の深さを変えることは可能です。
ただし、全従業員が「情報管理の重要性」を理解しておくことは、施設全体の意識向上のために重要です。
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オンライン研修でも問題ありませんか?
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こども家庭庁の教材はオンラインでの視聴が可能です。
ただし、質疑応答の機会を設けるなど、理解度を確認する工夫を併せて行うことをおすすめします。
まとめ
従業員研修は、情報管理規程を「絵に描いた餅」にしないための、最も重要な取組の一つです。
- 秘密保持義務違反には従業員個人にも罰則が及ぶ可能性がある
- 「何が漏えいに該当するか」を具体例で伝えることが最も効果的
- 簡易版・詳細版の周知資料を使い分ける
- 新規採用時・定期・規程改定時・配置転換時に研修を実施する
- 研修実施の記録を残すことが重要
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