こんにちは。行政書士・情報処理安全確保支援士の毛利です。
日頃のちょっとした悩みに行政書士がお答えする、教えてもーりーのコーナーです。
今回は生活保護の受給要件に関するご相談です。

生活保護を受給するために、働けないことを証明する必要がありますか?

この方は、体調を崩していて満足な収入が得られず、生活保護を検討していました。いろいろと調べている時に、「一見若く健康にみえる若い人が、役所に生活保護の相談に行くと門前払いされる」というネットの記事を見て不安になったようです。

働けないことを証明する必要はない

病気やけが、精神的に働くことができないから、生活保護を申請する場合があります。そうなると、生活保護を受ける条件で、医師の診断書などの客観的な証明が必要に思えます。

生活保護の申請にそのような証明は必要ありません。ところが以前、以下のような記事が掲載されたことがあります。

「誤解が多い制度なので付け加えると、資産があったり、働けるのに働いていなかったりすると、保護には至らない。生活保護を受給するには、資産は役所から調査され、健康問題などで働けないことを証明しなくてはならないからである。」
【平成29年8月23日毎日新聞朝刊『生活保護基準と格差』(首都大学東京教授 阿部彩)】

これは明白な誤りです。「働けないことの証明」がなくても、資産と収入が乏しく、家族や親戚などから経済的援助を受けることができず、困窮しているのであれば、生活保護を受けることができます。

そもそも生活保護を受給できる条件はシンプルで、「厚生労働大臣の定める最低生活費よりも収入が少ない」ことです。つまり、働けるのかどうかは関係ないわけです。

資産や健康状態など等の調査はされる

不正受給を防ぐため、預金口座、生命保険、所有不動産などの資産は、厳正に調査されます。しかし、働いていないことで不利になることはありません。

とはいえ、「働きたくないので働かず、だから収入が少ない」というのが認められているっというわけではありません。

生活保護を申請すると、福祉事務所では決定のために、どの程度働けないのか、病状や障害を把握する調査を実施します。この場合、指定された医療機関で診察を受けるための「検診命令書」を発行します。

「生活保護の申請 → 検診命令書を発行」

この順番です。働けないことが調査されるのは生活保護を申請した後です。逆ではありません。

就労の努力は求められる

生活保護を受けるために「働けないこと」を証明する必要はありません。ただし、働くことが可能な場合には、就労の努力を行うことが求められます。就労の努力とは以下のようなことです。

  • 就労の意思と行動:ハローワークへの登録や就職活動の実施により、就労にむけた努力を行うこと
  • 能力の活用:年齢や経験に応じて、自分の能力を最大限に生かして収入を得ることを目指す

そうして経済的自立を果たし、生活保護から脱却した人には就労自立給付金(参考:さいたま市の例)が支給されることとなります。

他にもわからないことや知りたいことが、いろいろとありませんか?
そんな時は当事務所へ、お気軽にお問い合わせください

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